「ITパスポートって高校生でも取れるの?」「取ったところで何に使えるの?」——そんな疑問を持つ高校生やその保護者の方は多いのではないでしょうか。結論から言えば、ITパスポートは高校生にとって「取るメリットが非常に大きい国家資格」です。大学入試での優遇、専門学校の学費免除、就職活動でのアピールと、活用できる場面は多岐にわたります。
本記事では、IPA(情報処理推進機構)が公表している令和7年度の最新統計データをもとに、高校生のITパスポート受験の実態を数字で示しながら、合格に必要な勉強法・おすすめテキスト・学習スケジュールまでを徹底的に解説します。
ITパスポート試験とは?高校生向けにわかりやすく解説
ITパスポート試験(通称 iパス)は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施する国家試験で、ITに関する基礎的な知識を幅広く問う内容となっています。経済産業省が認定する情報処理技術者試験のなかでも最も入門的な位置づけ(レベル1相当)であり、年齢・学歴を問わず誰でも受験できます。
試験の基本情報を以下にまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | IPA(独立行政法人 情報処理推進機構) |
| 試験方式 | CBT(Computer Based Testing)方式 |
| 受験料 | 7,500円(税込) |
| 試験時間 | 120分 |
| 問題数 | 100問(四肢択一式)※うち採点対象92問 |
| 合格基準 | 総合600点以上/1,000点満点 かつ 各分野300点以上/1,000点 |
| 出題分野 | ストラテジ系(約35問)、マネジメント系(約20問)、テクノロジ系(約45問) |
| 試験日 | 全国47都道府県で随時実施(主に金・土・日) |
| 合格証書 | 経済産業大臣名で交付(受験後約2〜3か月で郵送) |
試験内容は「IT技術」だけではありません。経営戦略やマーケティング、法務、プロジェクトマネジメントといったビジネス分野の知識も幅広く出題されるのが特徴です。高校の「情報Ⅰ」で学ぶ内容と重なる部分も多く、授業の延長線上で挑戦しやすい資格と言えるでしょう。
なお、2027年度(令和9年度)からは試験制度の大幅な改定が予定されており、出題分野が「ビジネス・テクノロジ・セキュリティ・倫理」の4分野体制に再編される見込みです。現行制度での受験は2026年度が最終年度となるため、慣れた出題形式で受験したい高校生は早めの取得をおすすめします。
(内部リンク:ITパスポートとは?試験概要を初心者向けに解説)
(内部リンク:2027年度 ITパスポート新制度まとめ)
高校生の受験データ|合格率・受験者数の最新統計
「高校生には難しいのでは?」と思われがちですが、データを見ると決してそうとは言い切れません。
令和7年度の全体データと高校生データの比較
| 区分 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 全体 | 307,266人 | 271,352人 | 132,012人 | 48.6% |
| 社会人 | 237,689人 | 209,165人 | 106,539人 | 50.9% |
| 学生全体 | 69,577人 | 62,187人 | 25,473人 | 41.0% |
| 大学生 | 41,914人 | 36,646人 | 17,590人 | 48.0% |
| 高校生 | 14,693人 | 13,878人 | 3,461人 | 24.9% |
| 大学院生 | 3,361人 | 2,940人 | 2,002人 | 68.1% |
| 小・中学生 | 500人 | 483人 | 162人 | 33.5% |
(出典:IPA「ITパスポート試験 試験結果(令和7年4月度〜令和8年3月度)」)
高校生の合格率は24.9%で、全体の48.6%と比較すると低い水準です。しかし、この数字には「学校の授業の一環で半ば強制的に受験した」という層も含まれています。実際に自主的に対策をして臨んだ受験者に限れば、合格率はこれよりもかなり高いと考えられます。
高校生の合格者数は長期的に増加傾向
年度別に見ると、高校生の合格者数は2012年の2,041人から2018年には3,605人まで増加しました。コロナ禍の2019〜2022年はやや減少しましたが、2023年度には2,792人、そして令和7年度には3,461人と再び増加に転じています。受験者数自体もほぼ横ばいであることから、合格のしやすさは年々向上していると言えます。
特に近年は過去問サイトやスマホアプリなど無料で使える学習ツールが充実しており、高校生でも効率的に試験対策ができる環境が整っています。最年少合格者が7歳であることからもわかるように、専門的な実務経験がなくても、正しい対策をすれば十分に合格可能な試験です。
高校生がITパスポートを取る6つのメリット
メリット① 大学入試で優遇される(全国130校以上)
ITパスポートを取得することで得られる最大のメリットが「大学入試での優遇」です。IPAが2024年7月〜12月に実施したアンケート調査によると、ITパスポートを入試優遇の対象としている大学・短大は全国で130校にのぼります(2025年4月1日更新のIPA公式資料より)。
具体的な優遇内容は大学によって異なりますが、主に以下のパターンがあります。
「学科試験の免除」——一部の大学では、ITパスポートの合格証を提出することで学科試験が免除され、書類審査と面接のみで選考が行われます。
「総合型選抜・推薦入試での加点」——北海道情報大学では学校推薦型選抜でITパスポート保有者に3点の加点、多摩大学経営情報学部では総合型選抜で5点の加点があります。1点差で合否が分かれる入試において、この加点は極めて大きなアドバンテージです。
「合否判定での考慮」——帝京大学の経済学部・法学部・教育学部・文学部・外国語学部・理工学部の総合型選抜および学校推薦型選抜(公募制)では、ITパスポートの保有が合否判定の際に考慮されます。
「出願条件の充足」——法政大学国際文化学部の分野優秀者入学試験では、IPAの試験合格が出願条件の一つとなっています。
主な優遇対象大学の例として、一橋大学(社会学部)、中央大学(理工学部)、津田塾大学(学芸学部情報科学科)、信州大学(経法学部)、静岡大学(人文社会科学部経済学科)、熊本大学(文学部・法学部・理学部・工学部)、関西学院大学(商学部)、長崎大学、山口大学など、国公立大学も複数含まれています。
(参照:IPA「大学・短大における情報処理技術者試験の入試優遇」2025年4月1日更新)
メリット② 大学入学後も単位認定・奨学金で活用できる
入試だけでなく、入学後にもメリットがあります。IPAの調査によると、ITパスポートの合格を「単位認定」に活用している大学は76校、「受験を推奨(受験料補助、合格者の表彰、報奨金等支給)」している大学は104校にのぼります。
単位認定を受けられれば、その分の授業を履修する必要がなくなるため、他の学習や課外活動、アルバイトに時間を充てることができます。
メリット③ 専門学校の学費が一部免除になる場合がある
IT系の専門学校を中心に、ITパスポートの保有者に対して入学金や授業料の減免制度を設けている学校があります。たとえばIPU環太平洋大学の現代経営学科では授業料の20%が免除、東京ITプログラミング&会計専門学校では授業料の50%が免除される事例があります。進学先によっては数十万円単位の経済的メリットが生まれるため、保護者にとっても嬉しいポイントです。
メリット④ 就職活動で基礎的なIT力をアピールできる
高校卒業後に就職を考えている方にとっても、ITパスポートは有効なアピール材料になります。近年はDXの推進により、IT業界以外の企業でも社員のITリテラシーを重視する傾向が強まっています。警視庁をはじめとする官公庁や自治体でも加点要素として扱われるケースがあります。
ただし、資格を持っているだけでは十分なアピールになりません。「なぜ取得しようと思ったのか」「学習を通じて何を学んだか」「計画的に目標を達成した経験」など、資格取得のプロセスを自分の言葉で語れるようにしておくことが重要です。
メリット⑤ 「情報Ⅰ」の学習内容を深掘りできる
2022年度から高校で必修化された「情報Ⅰ」は、情報セキュリティ、データベース、ネットワーク、プログラミングなど、ITパスポートの出題範囲と重複する内容を多く含んでいます。ITパスポートの学習を通じて、授業で習った内容をより体系的・実践的に理解できるようになります。2025年度からは大学入学共通テストに「情報」が新設されたこともあり、情報分野の知識を固めておくことは受験対策としても有意義です。
メリット⑥ 上位資格へのステップアップ基盤になる
ITパスポートで身につけた知識は、基本情報技術者試験(合格率約25〜30%)や情報セキュリティマネジメント試験(合格率約50〜60%)といった上位資格への足がかりになります。大学在学中にこれらの資格を取得すれば、就職活動で大きな武器になるでしょう。高校生のうちにITパスポートを取得しておくことで、大学での学びと資格取得を効率的に両立できます。
高校生の合格率が低い理由と「本当の難易度」
前述のとおり、高校生の合格率は24.9%で全体の約半分です。しかし、これは「高校生にとってITパスポートが極めて難しい」ことを意味するわけではありません。合格率が低くなる主な要因は以下の3つです。
第一に、学校単位での団体受験により、十分な対策をしていない受験者が一定数含まれていること。授業の一環や学校の方針で「とりあえず受けた」という層が合格率を押し下げています。
第二に、ビジネス用語への馴染みの薄さです。ストラテジ系の出題には「ROE」「BPR」「SaaS」「SWOT分析」など、社会人にとっては日常的でも高校生にはなじみの薄い用語が多く登場します。しかし裏を返せば、テキストで体系的に学べば知識ゼロからでも十分カバーできる範囲です。
第三に、学習時間の不足です。部活動や定期テスト、受験勉強との両立が難しく、まとまった対策時間を確保できないケースがあります。
一方で、きちんと100時間程度の対策を行った高校生の合格率は全体平均と同等以上になるという報告もあります。小学1年生(7歳)の合格者がいることからもわかるように、求められるのは「高度な知識」ではなく「正しい対策」です。
高校生のためのITパスポート勉強法
勉強時間の目安
ITパスポートの合格に必要な勉強時間は、IT知識ゼロの初学者で約100〜180時間、「情報Ⅰ」の授業内容をある程度理解している高校生であれば約80〜120時間が目安です。1日1〜1.5時間のペースで取り組めば、約2〜3か月で合格ラインに到達できます。
学習ステップ
学習は大きく4つのステップで進めます。
ステップ1:テキスト1冊を通読する(1〜2週間)。 まずはイラストや図解が豊富な初心者向けテキストを1冊通読し、試験の全体像と各分野のキーワードを把握します。この段階では完璧に覚える必要はなく、「こういう用語がある」という認識を持てれば十分です。
ステップ2:分野別に過去問を解く(3〜6週間)。 テキストの通読が終わったら、過去問演習に入ります。「ITパスポート試験ドットコム」(https://www.itpassportsiken.com/)などの無料サイトを活用し、分野別に問題を解いていきます。間違えた問題はテキストの該当箇所に戻って復習し、なぜその答えになるのかを理解するようにしましょう。
ステップ3:弱点分野を集中的に補強する(7〜8週間)。 過去問の正答率を分野別に集計し、正答率が低い分野を重点的に復習します。高校生はストラテジ系(経営戦略・法務・会計など)が弱点になりやすい傾向があるため、特に意識して取り組みましょう。
ステップ4:模擬試験で仕上げる(9〜10週間)。 本番と同じ120分・100問の形式で模擬試験を実施します。IPA公式サイトではCBT疑似体験ソフトウェアを無料で提供しています。時間配分の感覚をつかみ、本番に備えましょう。
高校生におすすめのテキスト
テキスト選びのポイントは「イラスト・図解が豊富」「最新の出題傾向に対応」「索引が充実している」の3点です。高校生に人気のテキストとして、以下のシリーズがよく挙げられます。
「キタミ式イラストIT塾 ITパスポート」(技術評論社)——マンガ風のイラストで解説されており、IT用語に馴染みのない高校生でも読みやすい構成です。
「いちばんやさしいITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集」(SBクリエイティブ)——頻出テーマを絞り込んで解説しており、効率重視の学習に適しています。
「ITパスポート パーフェクトラーニング 過去問題集」(技術評論社)——直近数年分の過去問と詳細な解説がセットになっており、テキストと併用するのに最適です。
いずれも毎年改訂版が出版されるため、必ず最新年度版を購入するようにしてください。
(内部リンク:ITパスポートおすすめテキスト8選)
スキマ時間を活用する
通学中の電車やバス、休み時間、寝る前の15分など、スキマ時間を徹底的に活用することが高校生の合格のカギです。スマホで「ITパスポート試験ドットコム」の過去問を解いたり、YouTubeの解説動画を視聴したりすれば、机に向かう時間が限られていても着実に知識を積み上げることができます。
(内部リンク:ITパスポートはスマホだけで合格できる?スマホ学習法を解説)
いつ受験するのがベスト?学年別おすすめスケジュール
高校1年生
最もおすすめの時期です。1年生の夏休みを利用して集中的に学習し、9〜10月に受験するのが理想的なスケジュールです。2年生以降の定期テストや部活動が本格化する前に取得できれば、精神的にも余裕を持って高校生活を送れます。
高校2年生
部活動の引退前後(秋〜冬)に受験するのが現実的です。3月から学習を開始し、6月の受験を目指すのがおすすめです。大学入試の出願時期(秋〜冬)に合格証書を持っていれば、入試優遇を最大限に活用できます。ただし、合格証書は受験後約2〜3か月で届くため、出願スケジュールから逆算して受験日を設定しましょう。
高校3年生
大学入試の準備と並行しての受験はスケジュール的に厳しくなりますが、推薦入試・総合型選抜に活用したい場合は、3年生の6月までに取得しておくことを目標にしましょう。一般入試に集中する場合は、大学入学後の1年生前期に受験するのも選択肢です。
合格するための5つのコツ
コツ1:頻出分野に絞って勉強する。 ITパスポートの出題範囲は広いため、すべてを完璧に覚えようとすると時間が足りません。過去問の分析から出題頻度の高いテーマを特定し、優先的に学習しましょう。
コツ2:過去問を最低でも5年分(500問以上)解く。 ITパスポートは過去問と類似した問題が繰り返し出題される傾向があります。過去問の反復演習が合格への最短ルートです。
コツ3:消去法を活用する。 四肢択一式のため、正解が分からなくても明らかに誤りの選択肢を消していけば正答率が上がります。過去問を通じて「典型的な引っかけパターン」を把握しておくことが重要です。
コツ4:ストラテジ系を捨てない。 高校生が苦手とするストラテジ系ですが、各分野で300点以上を取る必要があるため、捨てることはできません。ビジネス用語は暗記で対応できるものが多いので、通学時間にスマホで繰り返し確認するのが効果的です。
コツ5:本番と同じ環境で模擬試験を受ける。 IPA公式のCBT疑似体験ソフトウェアを使い、120分の時間制限を設けて通しで解く練習を最低2回は行いましょう。時間配分の感覚と操作に慣れておくことで、本番での焦りを防げます。
試験当日の注意点
試験当日に必要な持ち物は「確認票(印刷またはメモ)」と「顔写真付き本人確認書類」の2点です。高校生の場合、運転免許証を持っていないケースが多いため、マイナンバーカードまたはパスポート(旅券)を用意しておきましょう。学生証は顔写真付きであっても本人確認書類として認められない点に注意が必要です。
スマートフォン、腕時計、電子辞書、参考書などは試験室への持ち込みが禁止されています。ロッカーに預けることになるため、貴重品の管理にも気を配りましょう。
試験終了後は、その場で即座にスコアが画面に表示されます。正式な合格発表は翌月中旬、合格証書は受験後約2〜3か月で届きます。
(内部リンク:ITパスポートの申し込み方法完全ガイド)
よくある質問(FAQ)
Q. 高校生でもITパスポートに独学で合格できますか?
合格できます。市販のテキスト1冊と無料の過去問サイトを使い、約2〜3か月の学習で合格している高校生は毎年多数います。ただし、独学に不安がある場合は、スタディングやアガルートなどのオンライン講座を活用する方法もあります。月額数千円から利用でき、動画講義で効率的に学習を進められます。
Q. ITパスポートの受験に年齢制限はありますか?
ありません。年齢・学歴・国籍を問わず、誰でも受験できます。最年少合格者は7歳(小学1年生)です。
Q. ITパスポートの合格に必要な勉強時間はどれくらいですか?
IT知識ゼロの高校生で約100〜180時間、「情報Ⅰ」の学習経験がある高校生で約80〜120時間が目安です。1日1〜1.5時間のペースで2〜3か月が標準的な学習期間です。
Q. 不合格でも再受験できますか?
はい。ITパスポートは通年で実施されているため、不合格であっても翌日以降に再受験が可能です。ただし、受験料7,500円は毎回必要です。
Q. 2027年度の制度改定で何が変わりますか?
出題分野が現行の3分野(ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系)から4分野(ビジネス・テクノロジ・セキュリティ・倫理)に再編される予定です。現行制度での受験は2026年度が最終年度となるため、既存のテキストや過去問が活用できる今のうちに取得することをおすすめします。
(内部リンク:2027年度 ITパスポート新制度まとめ)
Q. ITパスポートは履歴書に書けますか?
書けます。正式名称は「ITパスポート試験 合格」で、取得年月は合格証書に記載された日付を使用します。
(内部リンク:ITパスポートの履歴書への書き方完全ガイド)
まとめ|高校生こそITパスポートを取るべき理由
ITパスポートは、大学入試優遇(全国130校以上)、専門学校の学費免除、就職でのアピール、「情報Ⅰ」の理解深化、上位資格へのステップアップと、高校生にとってのメリットが非常に多い資格です。
令和7年度の高校生合格率は24.9%ですが、きちんと対策すれば十分に合格可能な難易度です。テキスト1冊と過去問サイトがあれば独学でも合格を狙え、受験料7,500円という手頃なコストで国家資格を取得できるのは、コストパフォーマンスの面でも非常に優れています。
2027年度の制度改定を控えた今、現行制度で受験できる2026年度中の取得がベストタイミングです。まずはテキストを1冊手に取り、学習をスタートしてみてください。


