ITパスポートの受験者の中で最も多い職種は「営業・販売(非IT関連)」です。なぜ多くの営業職がITパスポートを取得しているのか、取得すると実際に何が変わるのかを解説します。
なぜ営業職にITパスポートが増えているのか
IPAの公式データによると、ITパスポート受験者の業務別分類で「営業・販売(非IT関連)」が最も多くなっています。この傾向は年々強まっており、非IT系企業の営業職がITパスポートを取得する動きが広がっています。
背景には主に3つの理由があります。
① 顧客のDX推進に伴い、IT知識がある営業が求められている メーカー・金融・不動産・医療など、あらゆる業界でDXが推進されています。顧客が「システム化したい」「データ活用したい」というニーズを持つ場面で、IT知識のある営業担当者の方が顧客の課題を的確に把握して提案できます。
② 社内のITツール導入に関わる機会が増えている SFA(営業支援システム)・CRM・MAツールなど、営業部門でもITツールの活用が進んでいます。ツールの評価・選定・活用推進に関わる際にITパスポートの知識が役立ちます。
③ 会社から取得を推奨されるケースが増えている 金融・保険・不動産など顧客の重要情報を扱う業種では、会社がITパスポートの取得を推奨・義務化するケースが増えています。
営業職がITパスポートを取ると変わること
変化①:IT商材・SaaSの提案力が上がる
ITシステム・クラウドサービス・セキュリティソリューションなどIT商材を扱う営業の場合、ITパスポートで学ぶ「クラウドの仕組み」「ネットワークの基礎」「セキュリティの概念」が提案の説得力を高めます。
「このサービスはAES暗号化を使用しており、情報漏えいリスクを低減できます」という説明が理解できる・できないでは、顧客への説得力が大きく変わります。
変化②:顧客のIT課題をヒアリングできるようになる
顧客の「システムが古くて使いにくい」「データがバラバラで活用できない」という課題に対して、ITパスポートの知識があると「それはレガシーシステムの問題ですね」「データベースの統合が必要な状況ですね」と適切な文脈で理解・提案できるようになります。
変化③:社内の情報システム部門・ベンダーとの会話ができる
システム導入プロジェクトでITベンダーや社内エンジニアと協力する場面で、「API」「クラウド」「SLA」「オンプレミス」といった基本的なIT用語を理解していると、会議の内容を把握してスムーズに連携できます。
変化④:転職市場での評価が上がる
IT企業・SaaS企業・デジタルマーケティング職への転職を考えている営業職にとって、ITパスポートは「ITの基礎知識がある」ことの客観的な証明になります。未経験からIT営業・インサイドセールスへの転職活動で評価されるケースが増えています。
営業職がITパスポートで特に役立つ分野
セキュリティ(最重要)
顧客情報・個人情報を扱う営業職にとって、情報セキュリティの知識は直接業務に関わります。マルウェア対策・パスワード管理・不正アクセス対策・個人情報保護法の理解は、営業職として必須の知識です。
経営・マーケティング(ストラテジ系)
SWOT分析・バランススコアカード・CRM・デジタルマーケティングなどのビジネス用語は、営業戦略の立案・提案書作成に直結します。ITパスポートのストラテジ系の学習は、営業力そのものの強化につながります。
プロジェクト管理(マネジメント系)
WBS・ガントチャート・EVM(アーンドバリューマネジメント)などのプロジェクト管理手法は、大型案件の受注後の導入支援や、社内プロジェクトの推進に活用できます。
営業職向けの効率的な勉強法
仕事との関連で学ぶ
「このIT用語は業務のどの場面で出てくるか」を意識しながら学習することで、記憶の定着が早まります。たとえばCRM(顧客関係管理)は営業職なら日常的に使うツールの概念です。業務との接点を探しながら学ぶと、単純な暗記より理解が深まります。
隙間時間を徹底活用する
外回り・移動・訪問待ち時間など、営業職には多くのスキマ時間があります。スタディングのスマホアプリや「ITパスポート試験ドットコム」を活用することで、1日トータル1〜2時間の学習時間を確保できます。
テクノロジ系は「理解」より「用語を覚える」から始める
「コンピュータの仕組みを理解する」という目標より、「よく出る用語の意味を覚える」という目標の方が学習が進みます。CPU・メモリ・ストレージ・LAN・VPN・暗号化・マルウェアなど、頻出用語をリスト化して覚える方法が営業職に向いています。
会社がITパスポートを推奨している場合の費用負担
金融・保険・不動産など一部の業種では、会社がITパスポートの受験料や教材費を負担するケースがあります。人事・総務に確認することが推奨されます。
また雇用保険加入者向けの「教育訓練給付制度」が適用される通信講座もあります。受験料7,500円+テキスト代の出費を大幅に抑えられる可能性があるため、事前確認が推奨されます。
よくある質問(FAQ)
- IT商材を扱わない営業でもITパスポートは役立ちますか?
役立ちます。現在IT商材を扱わない営業でも、顧客のDX対応・社内のITツール活用・情報セキュリティ対応など、あらゆる業種でIT知識が求められる場面が増えています。
- SaaS・IT企業への転職でITパスポートはアピールになりますか?
アピールになります。ただしエンジニア職ではなく、IT営業・インサイドセールス・カスタマーサクセスなどの非技術職への転職では特に有効です。「ITの基礎知識がある営業」として差別化できます。
- 営業職で忙しく、勉強時間が取れません。
通勤時間・訪問待ち・移動時間を合計すると、営業職は1日1〜2時間のスキマ時間が確保しやすい職種です。スマホで学習できるスタディングや過去問アプリを活用することで、机に向かわなくても学習を進められます。
- どのくらいの期間で合格できますか?
1日1〜2時間のスキマ学習で2〜4ヶ月が目安です。ストラテジ系が得意な営業職はテクノロジ系の理解に時間がかかることがありますが、1〜2ヶ月かけてテクノロジ系の頻出用語を覚えれば対応できます。
- ITパスポート取得後に基本情報技術者試験も目指すべきですか?
IT営業への転職や社内IT職へのキャリアチェンジを考えているなら、基本情報技術者試験(FE)へのステップアップが推奨されます。ただし難易度が大きく上がるため(合格率30〜40%)、ITパスポートで自信をつけてから判断することが現実的です。
まとめ
営業職がITパスポートを取得して変わることをまとめます。
- IT商材・SaaSの提案力が上がり、顧客の課題をIT文脈で理解できるようになる
- 情報システム部門・ITベンダーとの会話がスムーズになる
- IT企業・SaaS企業・デジタルマーケティング職への転職でアピールできる
- 受験者No.1の職種は「営業・販売」で、最も取得意義がある職種のひとつ
勉強法や通信講座については以下の記事も参考にしてください。
